【書評・感想】検証長篠合戦~織田家と武田家の鉄砲隊と支配した地域について~

検証長篠合戦を読んで中々読み応えがあったので、感想を書いてみます。

読みやすさは武田勝頼、織田信長について一般的な知識がないと辛いです。長篠合戦のことも知らないとまず読めない本でしょう。

本書を読む前に、漫画でもいいから新田次郎の武田勝頼を読んでからの方がいいです。

長篠の敗因は鉄砲を大量に装備できなかった

武田家は鉄砲隊を強化しようと努めたけど、場所が京都から遠く、鉛もないので無理でしたということがわかる本です。

武田が鉄砲を取り入れないで、騎馬隊の強さを過信ことが長篠合戦の敗因だと認識を改める本でもあります。

この本はどんな人におすすめ?

長篠合戦で武田勝頼は騎馬隊の強さを過信して無謀な突撃を繰り返して負けたという認識の人は速攻で読んだ方が良い本です。

また、織田家と武田家の鉄砲隊を組織する違いについて知りたい人も読んだ方がいいです。

2時間くらいで読めた

検証長篠合戦は1日でだいたい2時間くらいで読み終えました。長篠合戦はゲームや小説でも私にとっては馴染みのある合戦です。

テレビでの検証や武田家滅亡に関することで長篠合戦は必ず取り上げる合戦なので、読みやすい内容でした。

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本を読む前はどうだったか?

長篠合戦に関する本はいくらか読んでいました。信長の3段撃ちはなかったという本や武田軍が圧倒的に負けた戦いではなく織田軍も損失があったことも知っていました。

合戦の始まりと共に武田軍が鉄砲で次々倒されたけど、武田軍の一部は馬防柵を破るなど武田軍が織田勢に対して何もできずにまけたわけでありません。

 

本を読むことになったきっかけ(どこで知って、なぜ読んだ?)

検証長篠合戦を知ったのは、武田家滅亡を読んで見ようと思ったからです。武田家滅亡は長篠合戦以降の武田勝頼を扱った本で、私も1度読んだ経験があります。

もう1回読んで見たかったのですけど、あいにく図書館で他の人が借りていたので読むことができずに「検証長篠合戦」を借りてみました。

気になって引用した箇所

奥三河をめぐる武田、徳川の両氏の抗争は、実は鉱山の支配をめぐる側面もあったのではないかと思われる。

ページ118ページより引用

鉛を確保するために奥三河の拠点である長篠城を武田は攻め込んでいた理由を知りました。武田家には鉛を産出できる鉱山がないために、どうしても欲しい鉱山だったに違いありません。

鉄砲放の命中精度向上のためには不断の訓練が必要だ。しかし、そのためには、貴重な玉薬や弾丸を消費せねばならない。

ページ130ページより引用

鉄砲の腕を磨くにはとりあえず的に向かって撃つことから始まります。しかし、鉄砲を撃つには鉛が必要なのにその鉛が武田家にはありません。

引き金を引くだけで鉄砲は撃てるにはならないので、鉄砲隊の練度はなかなか向上しません。

両者の明暗を分けたのは、擁した火器と弾薬の数量差、そして兵力の差であり、それらはいずれも武田氏と織田・徳川両氏の擁する領国規模と、鉄砲と玉薬の輸入もしくは国産の実現可能な地域とアクセスしうる可能性の格差という理由に絞られるであろう。

235ページより引用

本書で主張したことをまとめるような文章です。

長篠合戦を読んでわかったこと

物流の盛んな場所を支配する勢力は強いと言うことを再認識しました。日本中世では京都、堺、北陸を治めた勢力はやはり強いのです。

もうひとつわかったことは戦国時代の馬はポニーのような馬ではなく戦が可能かつ重いものを運べるような馬だったということを知りました。

経済が栄えている場所を支配した勢力は強い

本書「検証長篠合戦」を読んで感じたことは武田家と織田家が治めた地域性がよくわかったことです。織田家は長篠合戦の前に朝倉、浅井を滅ぼし、石山本願寺と戦をしていた頃です。

畿内は鉄砲が広く流通していたので、織田軍にとって鉄砲を揃えることは経済力さえあれば可能です。しかも織田家は尾張、岐阜、伊勢湾の経済力もあるので金持ちです。

南蛮貿易もあり、弾丸、玉薬、鉛を大量に揃えることが可能であり、しかも鉄砲を使用した戦に慣れた人たちも多くいたでしょう。

対して武田家は甲斐、信濃を中心とした内陸の地域を治めていました。畿内、伊勢湾、堺とは遠い地域です。鉛、玉薬、硝石を集めるのには相当の経済力が必要です。おまけに南蛮貿易は全部西からです。

甲斐で堺から注文しようにも敵対勢力の織田、徳川が間にいます。織田家がどれだけ堺の商人に対して支配権を持っていたかは不明ですけど、堺の商人達はわざわざ遠くの甲斐に送るくらいなら織田家や西国の大名に鉄砲、鉛を売りたいはずです。

武田家にそれだけの経済力は私にはないと思います。南蛮船が東国の港によっているのならそこから鉄砲の輸入が可能だか、南蛮貿易は西からなので駄目です。

火縄銃の筒を武田家は揃えることは可能でした。しかし、弾丸がなければ訓練しようがありません。いくら鉄砲隊を組織しようとしてもできなかったのです。武田家は信玄時代から鉄砲には注目していたのに、訓練するだけの材料がないのです。

現代ならエアガンを買った人がBB弾を買い忘れてしまった状態です。引き金を引けても何も出ないなんて何のためにエアガンを購入したのか途方に暮れてしまいます。

訓練するだけの弾丸不足により織田、武田の鉄砲の扱いは量、質ともに織田軍の方が高かった可能が高いのです。

物流、消費地を経済力のある勢力が支配すると多くなる構図を本書から学びました。

ポニーではなかった

戦国時代の馬はサラブレットと違って小さくて力がなく気象が荒いので戦では役に立たないという印象を私は持っていました。ポニーみみたいに小さいのだから、甲冑かっちゅうを装備している侍を乗せてなんで無理だろうと。

しかし、本書を読んでそんな考えを見直しました。というのも馬は物を運ぶ主役です。今物を運ぶのではトラック、電車、車、飛行機、船です。昔陸上を運ぶ主役は馬でした。

世界史でも蒸気機関が発明される前は遊牧民が物流の担い手でした。よく考えてみれば物を運ぶために馬が重いものを運べないわけがありません。

おそらく小さいけれど、マッチョな馬だったのでしょう。あと重いものを運べるように馬を配合していたはずです。力のない馬は淘汰されていたかもしれません。

今の木曽馬やポニーを見て、小さいから人を背負って戦闘は無理と判断してしまったのは間違いでした。

織田家の鉄砲編成について

信長の鉄砲直属隊、兵農分離についてはちょっとわからないことが多くありました。というのも鉄砲隊は在地勢力が鉄砲隊も含めて多くの農民を徴兵します。その中から鉄砲の扱いに上手い人達を集めて鉄砲隊を組織したようです。

しかし、本書では織田家の軍令に関する書状がほとんどないとのことです。このへんの疑問は織田家の研究者である谷口さんの本を読んでみようかなと思ってます。

 

織田家に関わる本と武田家の本を読んでみたいと思った

この本を読んでみると織田家のことがわかっていたつもりになっていたことを自分なりに知りました。信長の本って言われてみればほとんど読んでいませんでした。

金子 拓、谷口 克広の2人は歴史人を読んで面白そうだったので2人の本から織田家のことをしっかり勉強したいですね。

どうやらこの長篠合戦と武田勝頼の追加版として本書があります。同じ作者で同じことを扱っているので読んでみたいです。