【感想】水木しげるのラバウル戦記:狩猟採集の世界に引っ越そうかと思った本

水木さんのラバウル戦記を読んだ。せっかくなので気合いを入れて書いた。

1回目の読書ーラバウル戦記を読んでの感想と読書記録

この本は読んで良かった。日本に対する疑問どころかラバウルへ移住したいと思ってしまった本だ。文明化すること、経済成長することを手放しで評価するのではなく冷静に考えてさせてくれる本だ。

ある兵士が見た最前線の日本軍ービンタ無双と土人達から感じた日本ー

水木しげるのラバウル戦記。2019年8月27日読み終わった。

水木茂さんは2015年に亡くなってしまいました。代表作はゲゲゲの鬼太郎。小さい頃水木先生の妖怪の絵を読んだことを覚えている。

出版社と発行年

出版社はちくま文庫。1994年筑摩書房より刊行されたものを文庫し1997年に出版された。

1997年というと、世紀末も間近。戦争の特集で自虐史観だと不満を主張する新しい教科書をつくる会などが活動を開始していた。

そんな時に下っ端の兵隊から見た戦争がどんなものであったのか、戦争を体験した人が飾らず、気取らず、生のままの戦争を描いたことはとても重要だ。

3日間で読めたけど、いじめがひどい

この本は8月の25日から8月27日まで読んでいた。本自体のページは少ない。絵もあるので、文章中心の絵本みたいな感じだ。

232ページなので1日で読めるはずが読むのが大変だった。その理由はとにかく理不尽なビンタばかりで読んでいてとてもストレスだった。

人が理不尽な理由で殴られているのを読むのが辛かったのだ。

Sponsered Link

本を読んだ理由と思ったこと

ここまで3分くらいでできます。 次は、本の内容について書きます。 自分の言葉でも多少は書いていく内容です。

本を読む前はどうだったか?

本を読む前は、「水木しげる 人生をいじくり回してはいけない」を読んでいたのでラバウルの現地民に対して好意的な印象を持っていたことは承知していた。

それに意味もなく軍隊がビンタしていじめが横行していたことも知っていた。意味もなくビンタされるけど、途中から認められてビンタも終わるだろうと思っていた。

水木さんがバウルで何を感じたかを知りたかったから読んだ

水木さんが日本だけでなく文明化した社会は息苦しいものと私は思っていた。私も文明化した社会がどうも好きになれない。

文明化するととにかく早く生きろ、効率よく、死ぬまで頑張ることを強要されているような気がしてならない。無暗に経済成長することが大きな成功と思ってしまう。

個人のことなら、どこまでも金を稼ぐ、成長することを強制されていることを毎日、どこかで感じてしまう自分がとても嫌なのだ。だから水木さんの本を読みたいと思った。

水木さんはラバウルの現地民との暮らしで天国のような気分を満喫したことが書かれていた。その詳細を知りたいから、「ラバウル戦記」を読みたかった。

あらすじと読み前の注意

太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。この強烈な体験が鮮明な時期に描いた絵に、後に文章を添えて完成したのが、この戦記である。終戦直後、ラバウルの原住民と交流しながら、その地で描いた貴重なデッサン二十点もあわせて公開する。

amazon商品データベースより引用

上官に殴り続けられると書かれている。そう本当に水木さんはビンタを食らいまくる。楽に生きたいと願う水木さんは軍隊の気質と相性が悪い。

相性の悪い面が出る。今ならちょっとした注意で済むだろうけど、昔の軍隊などでビンタの食らいまくりだ。読んでいて苦痛になるほどビンタ、ビンタ、ビンタの連続。

とにかく水木さんがビンタを食らいまくる。それを食らって水木さんが軍隊というものを当然否定的に思う。そこから呑気に生きる現地の人と交流して文明化した社会とラバウルでの暮らしを想定手的に見る。

その本で「線引き」したところを引用してください

文明なんてなんだ、いじめられ、そして、何かあると天皇の命令だから死ねとくる。また、忙しいばかりで何もない。

それにくらべて土人の生活は何とすばらしいものだろう。即ち、日本人には味わえないゆったりとした心があるのだ。

ラバウル戦記167ページより引用

私は今の日本にも当てはまるような気がする。今なら天皇ではなく会社や家だろうか?

会社の営業のために心を殺して客を騙せ。ノルマを達成するまで帰るな。会社に全てを捧げろと。

全てを費やしても忙しいと何より精神がおかしくなる。鬱になる可能性だってある。ストレスたまって犯罪するかもしれない。

散々頑張っても天皇のため、国のために頑張ったからめでたし、めでたし。なわけないだろ。

「なんで逃げ帰ったんだ。皆が死んだんだから、お前も死ね」と言う。

157ページより引用

逃げ帰って労いの言葉もなく、お前も死ねとは命を大事にしない組織だ。こんなことを会社の上司に言われたら言われたら、速攻で私なら退社する。

死ねとはとんでもなくことである。この時の20歳の人若者に死ぬことを命令する組織はおかしい。若者に人生を捨てろと命令は私にはできない。

これから人生良いことも悪いこともあるのに、その未来を潰すことを平然と命令できてしまう組織はおかしいものだ。

日本での暮らしって何だろうな?

この本は文明化して世界の列強になった国の所属した兵隊と未開の文明で原始人のような暮らしを比較することで、日本ってどうなんだと考えさせてくれる本だ。

日本は当時東ユーラシアでもっともヨーロッパに近づいた国である。政治的にも国際連盟の常任理事国だったので、日本は国際的に大きな成功を収めていた。

世界史の教科書にも日本の躍進には必ず触れる。しかし、ラバウルの人は教科書ではほとんど触れない。日本と比較したら微々たるものである。

国力もなく原始的な暮らしを過ごすラバウルの現地民。当時の日本からしたら未開の野蛮な国であっただろう。その島の人達の方が呑気に楽に暮らしているのだ。

必死になって文明化してヨーロッパに追いつき、追い越せをして、その日本で暮らしてひとりの人間が野蛮だと言われた島の生活を天国と感じてしまう。

日本は世界の序列の中で上に行くこと、成長することを目指してきた。その意味を改めて考えされてくれる本だ。

実はラバウルに引っ越そうと思ったけど結局辞めた

私はこの本を読んで、ラバウルに移住しようと思った。だから日記を書くのも止めていた。

ネットもない環境で呑気に暮らせる世界に移住しようと本気で考えていた。ラバウルだけでなく、狩猟採集の世界に行こうかと3日間くらい考えていた。

しかし、諦めた。その理由は体力不足、現地の風習に馴染みことへの不安、言葉を話せない、どっちにしろ楽できないなと思ったからである。

順を追って説明したい。

体力不足ー現地の暮らしに対応できない

よく考えたら、狩猟採集ってとても体力が必要である。車も自転車もないのだから、当然歩いたり走ったりである。

1時間以上歩くかもしれない。そういえばそんなに歩いたこと人生であっただろうか?と思って見ると思い浮かばない。

走ることも苦手である。おそらく10分も走ったらへばる。その場で息が上がる。

日本で暮らして狩猟採集をしている人に比べたら体力は少ないし、鍛える機会も少ない。原始的な暮らしでずっと過ごしていれば体もその土地に適応したのだろうけど、まあ無理だよな。

体力がない奴が外から来られても現地の人も迷惑であろう。

現地の風習への不安

私は神様のお祭りや踊ったりするのがはっきり言って嫌いである。人と仲良く触れ合うのがとにかく好きになれない。

1人でいることが好きなのだ。現地ではおそらく祭りがある。そこに参加しないでひとりで家に籠って考えごとをする私を快く迎えてくれるだろうか?

歓迎パーティーをしても不機嫌な顔、嫌な気持ちであることを結局隠して暮らすしかない。それは日本にいても同じことだ。

ただ日本ならそういった祭りには参加しないで済む。だから移住はしないと決めた。

言葉を話せない

言葉が話せない。これってかなりやばいことだ。言葉を伝えるのは身振り、手振りである。

これしかない。言葉が通じない。しかも体力もない、無愛想な奴を迎えてくれるだろうか?無理だろ。

俺だったら、そんな奴が家にいたら警察に身柄を引き渡す。

理想郷などない

私はこの本を読んでラバウルはすごく良い場所だと思った。移住したいと思えたほどだ。

ただ、現地には好き放題できる、楽して暮らせるないと私は思う。現地の人だってそれなりに悩んでいるはずだ。

狩りをすれば疲れるし、気温に対応できないで体調を崩す、出産への不安、生きるために努力しているわけだ。

そこで暮らせばなにか不満に思うこともあるかもしれない。日本よりも自然とはるかに共生できていたラバウルの人達であったが、そこで暮らすには私は日本に慣れ過ぎていた。

だから移住はしないと決心した。

わかったことと疑問に思ったことを書く

この本はとにかくいじめがひどい。特に新参兵へのいじめである。

水木さんがビンタを食らいまくったのはわかった。本当に理由もなくビンタされまくった。

自分達と違うことをする奴、気に食わない奴、口答えをする奴、態度が悪い奴と勝手に判断してビンタする。

ただこれは日本兵にどれだけ蔓延していたのであろうか?この本では海軍はいじめをしていない。

しかし、海軍にもいじめはあったはずである。それにこのいじめの慣習は今の日本でも生きているような気がする。

だからいじめの本をもっと読んでみようと思う。

いじめに関すること、当時の軍について知りたい

確か以前に吉田裕さんの本を読んだ。だがその頃はまだ読書日記にそこまで力を入れていなかった。だからもう一度読みなおそう。

この本はどんな人におすすめ?

この本は現代社会について疑問に感じている人、一平卒から見た戦争、水木しげるに興味がある、いじめの横行に興味がある人にオススメの本である。

コメント