戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」

すべてがインチキだ!
「東日流外三郡誌」の真贋論争の中心にいた青年記者がその真相を暴く──
立花隆氏、呉座勇一氏など各界著名人たちに注目された迫真のルポルタージュ!

青森県五所川原市にある一軒の農家の屋根裏から、膨大な数の古文書が発見された。当初は新たな古代文明の存在に熱狂する地元。ところが1992年の訴訟をきっかけに、その真偽を問う一大論争が巻き起こった。ーamazon内容紹介よりー

何故こんなことになってしまったのだろうと私はこの本を読んで思った。偽書やトンデモ本のほとんどに共通していることがこの東日流外三郡誌にはあった。

この事件を通してわかることは現場や史料を全て公開すればほとんど解決できたということだ。しかし、話をでっちあげるために現場と史料は徹底的に隠された。

何もなかったことは親戚の和田キヨヱの話と和田喜八郎が死去した後に、和田キヨヱ立会いの現場検証で判明された。

では何故嘘とわかったのか?について。

最初から嘘だった

天井から落ちてきて発見された古文書は発見者の和田喜八郎の祖先が書いたものである。

まず、天井から落ちてきた発見された古文書というが、天井には古文書を大量に隠せる作りにはなっていなかった。

しかも和田喜八郎の話では、家は大騒ぎになったとなっているが、これも和田キミヱの証言と違う。

私が最初から言っているじゃないですか。すべ喜八郎さんの作り話だと。

~略~

いいですか、ちゃんと聞いてください。古文書が落ちてきたという昭和22年ごろ、私はこの家に暮らしていたんです。でも、そんなことはいっさいありませんでした。原田さんの言うとおり、その頃はまだ天井板など張っていませんでした。

東日流外三郡誌390ページ引用

天井を検証した原田実さんの話では、何もなかったのだ。天井には古文書を隠せる作りになっていないのだ。

しかも東日流外三郡誌を書いた人は原本を書き写したのは和田喜八郎の2人の祖先ということになっている。しかし、この2人はほとんど字を書けないのだった。

だから、祖先が書き残した古文書ということになっていたが、字の書けない人がどうやっても原本を書き写せるわけがないのだ。

じゃあ、古文書ではないなら東日流外三郡誌とはなんなのか?

それは和田喜八郎が歴史について色々書いたまとめたものが東日流外三郡誌の正体であったわけだ。東北に住んでいるおっさんが自分の歴史書を売るために、あることないことをまとめた本である。

まあ、今でもネットではあることないこと書いている人が多くいる。むしろ今の方が発見しやすい。

では、どうしてこの本が売れたのかと言えば、和田喜八郎が徹底して現場を隠蔽したからだ。生前の和田は天井から落ちて来た家を誰にも見せなかったからだ。

史料の方も全てを見せないで自分にとって都合の良い史料を作ってから、小出しに出す。本物の史料はあると言い張って最後まで出さないのだ。

本では、東日流外三郡誌がどうして広まったのかについて書かれている。公的な権威とオカルトブーム、東北の感情が中央に抱く劣等感、後付けで神社を立てるなど。

だが、最初の始まりからこの話はフェイクなのである。刑事ドラマを見て欲しい。殺人事件が起きたら、最初に現場検証と死体の検査がお決まりだ。

このお決まりを守っていないのが東日流外三郡誌なのである。

どうすればいいのか?

まず、和田喜八郎のでっちあげた話のように、天井から大量の古文書が落ちて来た場合について。

それは自分の家から天井を破って、史料が落ちて来たことを想像すればいい。

その落ちて来た史料の検証を専門家に任せて、落ちて来た現場も警察に検証させる。おそらく史料を読める能力は専門家が優秀であり、破損した天井を直す手続きも警察もしくは建設会社に任せるだろう。

だから、歴史家や大工を呼ぶ。史料に関しては本物か偽物か歴史家が判断する。破損した天井の修復は誰かが決めるのだろう。

では、東日流外三郡誌のような通説をひっくり返す偽書を知った場合どうするか?それが本当か偽書なのか世間での評価が決まっていない場合である。

偽書とか言わず都市伝説やオカルトの話でも使えるかもしれない。

まずは、その話が本当かどうかを確かめるには、情報源を公開しているかで決める。史料があるというなら、全部公開してしまえばいいのだ。私の家にUFOや宇宙人が到来したと言うなら、いくらでも現場を公開する。

本なら参考データや参考文献を記載しているかが大事なわけだ。歴史関係の本なら、同じ作者で20冊以上参考文献を記載しない人は読む必要がないわけだ。

和田喜八郎は徹底して現場も史料も隠した。和田が最初から史料と現場を検証させれば、何もないことがわかっただけの話である。けど、和田はそうしなかった。

何故現場を公開しなかったのはわからない。金なのか中央への劣等感なのか名声欲なのかは私にはわからない。

ただ、私が東日流外三郡誌から学んだことは自分の考えと根拠となるものを公開しないといけないとわかった。これからもブログで自分が勉強になった、役だった本を紹介し続けたいと思う。

参考文献

次に読んだ方が良い・一緒に読んだ方が良い本

まとめ:データや経験に基づく理論の大切さ

誰だって大きなことは言える。職場の人と飲み会に参加した時、酔っぱらって言いたい放題言えるわけだ。

その言いたい放題をどうして真に受けないかと言うと、適当に発言しているからだ。世間をひっくり返す話なら、根拠のない話は信用してもロクなことがないということを知った本だ。

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