【書評・感想】九月、東京の路上で

 
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フタバコウジ
年間300冊読めたので、読書が中々定着しないで困っている人に本の読み方を教えたいと思いサイトを立ち上げました。ニートでゲーム、ネット依存症だったので、読書のやり方だけでなく健康や睡眠のことも書きます。

本書は震災に混乱した時、犠牲になった朝鮮人、中国人、日本人を紹介しています。その原因として作者は人種差別を強く非難しています。

人種差別主義者は私も好きではありません。とういうも1つの人種の中に多様性があるからで一括りで分類してできるほど単純なものはないからです。

日本は地震大国です。おまけに今年は台風の被害も深刻化しています。関東大震災時に一体何が起こったのか、人々は一体何に恐怖したのかを知り、一体どんなことができるのか私はこの本から学んでほしいです。

私はこの本の読んで思ったことは震災時と同じことが起きたらどうするのだろうかと思いました。主に感じたことは以下の3点です。

知って欲しい3つのこと

  • 震災時に庇うことはできるだろうか?
  • 簡単な確認だけで人に暴行、殺害する危うさを感じた
  • 周囲と違うことの難しさ

この3点について書きたいと思います。

震災時に庇うことはできるだろうか?

142ページで自警団から朝鮮人を守る日本人が紹介されています。

そこでは隣人の朝鮮人を夜を通して寝ずに守り抜いたことの要因として、日常的な付き合いをあげています。

この話を知って、私は同じことができそうもないと思いました。顔見知りの近所だとしても無理です。

何故なら朝鮮人引き渡しをする自警団に抗うことができないからです。この時の朝鮮人を守る自警団は5~6人。朝鮮人を殺そうとする自警団の方は40人くらい。

この数が正確なものであるかはわからないが、自分達よりも大きく、強い集団と争っています。争えば負ける可能性が大きいでしょう。

朝鮮人を渡せば助かるので、私なら死にたくない、暴行を加えられたくないので同じ状況なら朝鮮人を引き渡します。

自分の命かわいさに助けを求めた人を差し出します。とんでもないやろうだと非難されるでしょう。もしかしたら一生もののトラウマかもしれないが、死にたくないから仕方なかったと自己正当化して生きますね。

私個人としては顔の知っている人、話したこともない人が助けを求めれば応じます。それが例え国民から嫌われている外国人だろうが知ったことでありません。

ただし、自分の命が危なくなったらどうしようもないのです。おそらくその外国人を匿っていることを知られないように、圧力を加えらないようにします。

しかし、自分の家が40人近くの自警団に囲まれて、その自警団に脅されたら本当にどうしようもありません。

上記の朝鮮人を守った自警団は凄いが、死んだら終わりです。家族も差別かもしれません。

この著者は暴発した朝鮮人狩りに対して抵抗した人達を過剰に持ち上げすぎだろうと思いました。

朝鮮人と実際に話したこともないような連中とは違い、ふだん、朝鮮人の誰かと付き合いをもっている人のなかから、「守る人」が現れたということだ。

言ってしまえば当たり前すぎる話ではある。

(146ページより引用)

当たり前すぎる?ごめんなさい。俺は守れません。

俺だったら、死にそうになったら、朝鮮人を差し出します。死ぬ以前に家を囲まれたら、家族にも危害が加えられてしまうかもしれません。金も奪われてしまうし、家だって破壊されるの嫌です。

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簡単に殺される恐怖

震災時に人は簡単に殺されてしまうケースがあります。それは千田是也のケースです。

棍棒だの木剣だの竹槍だの薪割だのをもった、これも日本人だか朝鮮人だか見分けのつきにくい連中が、「畜生、白状しろ」「ふてえ野郎だ、国籍をいえ」「うそをぬかすと、叩き殺すぞ」と私をこすきまわすのである。

「いえ、日本人です。そのすぐ先に住んでいるイトウ・クニオです。この通り早稲田の学生です」と学生を見せても一向ききいれない。

そして薪割りを私の頭に振りかざしながら「アイウエオ」をいってみろだの、「教育勅語」を暗誦しろだのという。

まあ、この二つはどうやら及第したが歴代の天皇の名をいえというにはよわった。

この直後、自警団のなかにいた近所の人が彼に気づき、伊藤は怪我をせずにすんだ。彼は後に、この出来事にちなんで「千田是也」という芸名を名乗るようになる。

(136ページより引用)

私はこの文章を見て、とても恐ろしい気分になりました。何故なら学生証という身分証明をしたのにかかわらず殺されるそうになるからです。おまけに頭の上で薪割を振り「アイウエオ」と「教育勅語」を暗誦しろ、歴代天皇を言えの無茶ぶりです。(怖すぎる!!)

北斗の拳のヤンキー軍団だろ。

自警団の一部はこんな適当な選別、手順で人を殺す、暴行を加えていたのです。この自警団が感情に任せた手続きで人を殺そうとしていた幼稚さがよくわかります。「戸籍も調べもしないで殺すなよ」と言いたいです。

このケースで自分が問題だと感じるのはは日本人かどうかの判断基準です。自警団の連中は戸籍も調べることもできないのに、主観的判断で殺しています。

混乱時だから、尋問される方は怖くて、アイウエオもまともに話すこともできない可能性だってあったでしょう。朝鮮人だから殺すのではなく、日頃からむかつく奴を殺していたまるで暴徒のようです。

一般人が人を殺したら、それはもう罪です。正当防衛であろうが殺害は罪なのです。刑事ドラマでもよくあるパターンです。

俺なら周囲に武装した連中に包囲されたら、怖くて「あいうえお」も国歌も歌えないでしょうね。この場にいたら、おそらく私は殺されていました。

空気に逆らうのはとても難しい

この本を読めば、人種差別は本当にひどいと思う人が大半です。震災時に政治的な敵対している出身の外国人が困っていたら、助けるという思いをこの本は促してくれるでしょう。

関東大震災でで混乱した日本人の野蛮ぶりに怒る気持ちも湧くに違いありません。私も読んでいて、よくもこんな簡単に人を排除できるものだと憤りました。

ただし、震災時にデマが流れて、特定の外国人が暴れていることに恐怖をした自警団を否定することはできますか?警察や国などの公式組織がデマを誤認してしまったらどうでしょうか?

デマが公認されてしまえば、自己防衛が過剰になってしまうのは仕方ないと言えます。排除のお墨付きをもらったも同然なので、恐怖した人達は過激防衛に走るのも同様です。

その時、被災地で過剰防衛して、特定の外国人、自分達とは違う何かを排除しようとする空気に抗うことはとても難しいと私は思います。

地震という災害時ではなく、平和な時でも周囲と違う意見を言うのは大変です。例えば、オリンピック、ワールドカップ、WBCなど国を挙げてのスポーツ大会があります。

この時、それぞれの好みに応援する日本人がいるでしょう。海外のサッカーが好きな人なら日本と違う国を応援する場合もあります。中国に留学した日本人が中国の体操選手を応援することだってありえます。

ただ、日本人のほとんどは日本チームを応援します。メディアも日本チームのことをこれでもかと宣伝、特集しまくるに違いありません。

日本人の応援軍団がスアジアムで、対戦相手の他国の応援ができますか?私ならできませんね。家で他国の応援できますけど、みんなが日本を応援している中で対戦国を応援する度胸なんてありません。

別に多数派の人達は圧力をかけているわけではありません。日本人という連帯感で日本チームを応援しているだけです。外国人が応援しているカフェなどを襲撃なんて馬鹿なことはしません。

暴力を用いることもなく、多数派になることで少数派を結果として排除してしまう形になることがあります。しかもこの関東大震災は朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだというデマにより、集団化した自警団が少数派である朝鮮人、中国人を排除しました。

平和時の多数派の優勢+非常時の暴力です。平時でも多数派に流される人が多いのに、この2つのコンボに抗うのはとても難しいです。

この本のレビューをアマゾンで見ると、とても評価が良いです。この本のレビューをアマゾンで「朝鮮人殺害をしてしまった日本政府の非難、小池知事、石原元知事の発言の非難」のことを書けば高評価を得られるかもしれません。

この本を読めば大多数の人は震災の混乱でなくなった日本人、中国人、朝鮮人に悲しみを覚えます。

ただ、あなた自身が間違った空気だと身に染みても、その空気に反発することはとても大変だということは知ってください。

結論:答えはあなた次第

非常事態時になれば、自分の命を守るのも大変です。平時では考えらないことが起こってしまう。その時どうやって行動するのかよく考えるきっかけになる本です。

そして、周囲の意見に抗うことの難しさを知って欲しいです。本書では人種差別主義者を非難しています。その説に賛成するのはとても簡単です。

ただ、一方で人種差別する人間もいます。同じ日本人です。

あいつらは差別主義者だと非難することのは簡単だが、同じ人間としてどこまで折り合いを付けられるのか?

気にしないで済ますのか?あくまで排除するのか?

私個人としては気にしない方針です。ただ、日本人全て、人類全てに対する答えなんて私には用意できません。自分なりに勉強して答えを探すことが大事だとブログを書いていて実感しました。

 

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